はじめに
著作権の保護期間終了によって、2018年1月1日からその作品が自由に使えるようになった人について紹介する。
今のところ、日本の著作権法では、基本的に著作者が死んでから50年経つまでは著作権の保護を受けることになっている。つまり、死後50年間は、勝手に複製したり、配付したりすることができない。しかし、50年経つと、著作権がなくなる。これにより、だれもが自由に作品を使うことができるようになるのだ。そうすると、自由に複製ができるし、インターネット上に勝手に掲載しても文句を言われなくなる。50年の時を経て、著作者本人のものから、「みんなのもの」になるのだ。
なお、死んでから50年というのは、死んだ日からちょうど50年が経ってからという意味ではない。著作権は、死んだ年の50年後の年末まで残り、その翌年の初めから自由に使えるようになる。例えば、1967年に死んだ人の作品は、1月に死のうとも12月に死のうとも、2017年の12月31日で著作権の保護がなくなり、2018年1月1日から自由に使えるようになる。
以下、分野別に2018年1月1日から作品が自由に使えるようになった人たちを紹介する。いずれも、1967年に死んだ人である。なお、著作権が切れた作品などを公開するウェブサイト青空文庫で作品が公開されている人物については、そのリンクを記しておいた。
凡例
人物の姓名と主な肩書きの右肩に記している記号は、その人物が1967年に没した典拠を示すものである。記号の意味は以下の通りである。
- †:日外アソシエーツ〔編〕.(2006). 『人物物故大年表 日本人編II 1946~2004』 東京:日外アソシエーツ.
- ‡:Web NDL Authorities (国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)
- ⁂:東京文化財研究所 アーカイブデータベース 物故者記事
小説家

- 山本周五郎(小説家)†‡
- 壺井栄(小説家)†‡
- 富田常雄(小説家)‡
- 池田小菊(小説家)†‡
- 妻木新平(小説家)†‡
- 岡田美子(小説家)†‡
- 木村荘十(小説家)†‡
- 竹田敏行(小説家)†‡
- 磯萍小(小説家)†‡
- 後藤末雄(小説家・仏文学者)†‡
- 藤沢紫浪(藤沢衛彦)(小説家・民俗学者)‡
詩人・歌人・俳人など

- 高橋辰二(詩人)†
- 伊賀ふで(詩人)†‡
- 主な作品として『アイヌ・母(ハポ)のうた』がある。
- 遠地輝武(詩人)†‡
- 森みつ(詩人)†‡
- 廣津里香(詩人)‡
- 主な作品として『死が美しいなんてだれが言った』がある。
- 菱山修三(詩人)‡
- 山宮允(詩人・英文学者)†‡
- 英詩の翻訳書として『ブレイク選集』・『イエイツ詩抄』などがある。
- 正富汪洋(詩人・歌人)‡
- 武島羽衣(詩人・歌人・国文学者)†‡
- 滝廉太郎作曲の「花」の作詞で知られる。
- 野上彰(詩人・小説家)†‡
- 蒲池歓一(詩人・中国文学者)†‡
- 正岡陽炎女(俳人)†
- 亀田小蛄(俳人)†‡
- 兼松蘇南(俳人)†
- 赤城さかえ(俳人)†‡
- 竹田小時(俳人)†
- 中村三山(俳人)†
- 水谷砕壺(俳人)†‡
- 安藤姑洗子(俳人)†‡
- 柳原白蓮(宮崎燁子)(歌人)†‡
- 窪田空穂(歌人・国文学者)†‡
- 主な作品として『万葉集評釈』、『まひる野』、『土を眺めて』がある。
- 石川きぬ子(歌人)†
- 花田比露思(歌人)†‡
- 吉野秀雄(歌人)†‡
- 青空文庫での作家別作品リスト:吉野秀雄
- 青空文庫で2018年1月1日に公開された作品:「秋艸道人の書について」
- 山下陸奥(歌人)†‡
- 島秋人(歌人)†‡
- 館山一子(歌人)†‡
- 鐸木孝(歌人)†‡
- 住谷三郎(歌人)‡
- 松平濱子(歌人・教育者)† [1]
- 宮城謙一(歌人・国文学者)†‡
- 藤沢古実(歌人・彫刻家)†‡
- 片口江東(片口安太郎)(漢詩人)† [2]
- 村田周魚(川柳家)†‡
その他の文筆家、文学研究者
- 谷崎伸(児童文学家)†
- 伊藤貴麿(児童文学家)†‡
- 『西遊記』の翻訳などで知られる。
- 矢崎源九郎(翻訳家・言語学者)‡
- 秘田余四郎(翻訳家・小説家)‡
- 木方庸助(英文学者)†‡
- 松浦嘉一(英文学者)‡
- 淀野隆三(仏文学者)†‡
- 佐藤晃一(独文学者)†‡
- トーマス・マンの研究者で、マンの『恋人ロッテ』やリルケの『若き詩人への手紙』などを翻訳した。
- 菊池仁康(実業家・ロシア文学者)‡
- プーシキンの作品などを翻訳した。
- 辛島驍(中国文学者)†‡
- 主な作品として『中国の新劇』 がある。
- 勝本清一郎(文芸評論家)†‡
- 三宅周太郎(演劇評論家)†‡
- 河竹繁俊(演劇学者)‡
- 主な作品として『日本演劇全史』 がある。
- 大西重孝(文楽研究家)†‡
- 主な作品として『文楽人形の芸術』がある。
- 森於菟(医学者)†‡
- 高橋毅一郎(随筆家・医師)†‡
- 主な作品として『ドクトル千一夜』がある。
- 黒田鵬心(美術評論家)‡⁂
- 主な作品として『芸術概論』がある。
- 笠信太郎(ジャーナリスト)†‡
- 青空文庫での作家別作品リスト:笠信太郎
- 青空文庫で2018年1月1日に公開された作品:「デモクラシーのいろいろ」
- 主な作品として『新しい欧州』、『“花見酒”の経済』がある。
- 山浦貫一(ジャーナリスト)‡
- 松原宏遠(秋月俊一郎)(科学評論家)†
- 主な作品として『動物の結婚:野生に見る愛の表現』がある。
芸術家
- 長谷川路可(画家)†‡
- フレスコ画で知られる。
- 田中佐一郎(洋画家)†‡
- 主な作品として「コレヒドールの夜」 がある。
- 安谷屋正義(洋画家)†‡
- 和田三造(洋画家)†‡
- 互井開一(洋画家)†⁂
- 山口亮一(洋画家)†
- 大河内信敬(洋画家)†⁂
- 中村研一(洋画家)‡⁂
- 長谷川春子(洋画家・随筆家)†‡
- 主な作品として『戯画漫文』がある。
- 磯部草丘(日本画家)†‡
- 大坪正義(日本画家)†
- 赤井伸生(日本画家)†
- 相生垣秋津(日本画家)†‡
- 町田曲江(日本画家)†⁂
- 高橋竹年(日本画家)†
- 田中嘉三(日本画家)†
- 金重菱江(日本画家)†
- 尾形月山(日本画家)†‡
- 鴨下晁湖(日本画家)‡⁂
- 岡本綺堂『半七捕物帳』の挿絵を描いたことで知られる。
- 内藤伸(彫刻家)⁂
- 飯田景応(作曲家)†‡
- 宇賀神光利(作曲家)†
- 「おさるのゆうびん」・「てぶくろ」などの童謡の作曲で知られる。
- 二代目桂小文治(落語家)†
- 二代目吉田奈良丸(浪曲師)†‡
- 豊竹山城少掾(義太夫節太夫)‡
- 下村兼史(記録映像作家・写真家)†‡
- 主な作品として『或日の干潟』 がある。
- 花柳寿太郎(日本舞踊家)†‡
- 林きむ子(日本舞踊家)†‡
建築家など
学者

- 中田薫(法制史学者)†‡
- 主な作品として『徳川時代の文学に見えたる私法』 がある。
- 藤田嗣雄(法制史学者)†‡
- 主な作品として『明治憲法論』がある。
- 恒藤恭(法哲学者)†‡
- 高柳賢三(法学者)†‡
- 主な作品として『英米法源理論』がある。
- 石井金一郎(法学者)†
- 主な作品として『日本帝国主義の権力と機構』がある。
- 大串兎代夫(法学者・国家学者)†‡
- 山崎佐(医事法制学者)‡
- 主な作品として『江戸期前日本医事法制の研究』がある。
- 矢部貞治(政治学者)‡
- 木村重治(西洋史学者)†‡
- 太田孝太郎(実業家・東洋史学者・郷土史家)†‡
- 主な作品として『漢魏六朝官印考』がある。
- 南部藩に関する史料『南部叢書』の編集にたずさわる。
- 玉井伊三郎(考古学者)†
- 主な作品として『吉備古瓦図譜』がある。
- 甲野勇(考古学者)†‡
- 主な作品として『武蔵野を掘る』がある。
- 京口元吉(日本史学者)†‡
- 鈴木重光(郷土史家)†
- 主な作品として『相州内郷村話』がある。
- 津久井の歴史の研究で知られる。
- 津田応助(郷土史家)‡
- 高橋享(朝鮮学者)†
- 野尻重雄(農業経済学者)†‡
- 主な作品として『農民離村の実証的研究』、『農村の人口』がある。
- 佐藤寛次(農業経済学者)†‡
- 金沢庄三郎(言語学者)†‡
- 時枝誠記(言語学者・国語学者)‡
- 新村出(言語学者・辞書編纂家)†‡
- 鷲尾猛(フランス語学者)†‡
- 大山幸太郎(哲学者)†‡
- 淡野安太郎(哲学者)†‡
- 主な作品として『社会哲学としての法律哲学』、『ベルグゾン』がある。
- 永野芳夫(哲学者)†‡
- 大島直治(倫理学者)†‡
- 多田等観(仏教学者)†‡
- 主な作品として『チベット』、『チベット滞在記』がある。
- 望月歓厚(仏教学者)‡
- 井上敏(化学者)†‡
- 冨田雅次(生化学者)†‡
- 中山駸馬(生物学者)†
- 主な作品として『土佐産貝類総目録』がある。
- 貝類の研究で知られる。
- 平岩馨邦(生物学者)‡
- https://doi.org/10.11238/mammalianscience.9.1_21
- 篠原雄(生物学者・科学哲学者)†‡
- 八木誠政(昆虫学者)†‡
- 主な作品として『函数生物学』、『昆虫学本論』がある。
- 鈴木貞次郎(植物学者)†
- 細谷雄二(生理学者)†
- 林暲(精神科学者)†‡
- 桑田芳蔵(心理学者)†‡
- 主な作品として『ヴントの民族心理学』がある。
- 岡部弥太郎(教育学者)†‡
- 主な作品として『教育心理学』、『教育的測定』がある。
- 小川敬次郎(土木工学者)†‡
- 大坪喜久太郎(土木工学者)†
- 宮城音五郎(機械工学者)‡
- 横地伊三郎(電気工学者)†‡
- 藤本幸太郎(統計学者)†‡
- 白石早出雄(数学者・科学哲学者)†‡
その他

- 吉田茂(政治家)†‡
- 清瀬一郎(弁護士・政治家)‡
- 主な作品として『秘録東京裁判』がある。
- 東京裁判で東條英機の弁護人を務めた。
- 津島寿一(政治家)†‡
- 主な作品として『谷崎と私』がある。
- 谷崎潤一郎の親友。
- 織田信恒(政治家・漫画原作者)†‡
- 『正チャンの冒険』の原作者。
- 鮎川義介(実業家・政治家)†‡
- 井上日召(政治運動家)‡
- 主な作品として『一人一殺:井上日召自伝』がある。
- 血盟団事件に関わった。
- 浅原健三(労働運動家)‡
- 加藤完治(教育者)†‡
- 満蒙開拓移民を推進。
- 岩佐作太郎(アナキスト)†‡
- 中山正善(宗教家)‡
- 天理教の真柱。
- 毎田周一(仏教思想家)‡
- 小倉ミチヨ(性文化研究家)‡
脚注
- 関東短期大学ウェブサイトに没年の記載あり。 [↩]
- 射水市ウェブサイトに没年の記載あり。 [↩]