川や湖と地面の起伏だけの日本地図で地形を学ぶ

概要
「川だけ地形地図」というウェブ上の日本地図を紹介する。この地図は、地形について学ぶ際に有用である。

はじめに

Ground Interfaceというウェブサイトで、「川だけ地形地図」というものが公開されている。これは、川や湖といった水面と地面の起伏だけが描かれたウェブ上の日本地図である。例えば、この地図では、東京は以下のように表示される。

東京の川や地面の起伏だけを表示した地図。中心にあるのは皇居。西側は台地になっている。東側は低地であり、北から南に隅田川が流れている。
東京の川や地面の起伏だけを表示した地図。中心にあるのは皇居。西側は台地になっている。東側は低地であり、北から南に隅田川が流れている。

この「川だけ地形地図」を使えば、川によって形成された地形などを分かりやすく確認することができる。地理の勉強の際に活用すればきっと役立つだろう。

以下では、具体的な地形の例を見ていきたい。

沖積平野

沖積平野とは、河川が運んできた土砂が堆積することによって形成される平野のことである。大きな川の下流では広大な沖積平野が形成される。沖積平野の例として、佐賀平野を「川だけ地形地図」で見てみよう。

佐賀平野。この平野は筑後川によって形成された沖積平野である。北東から南に向かって流れる大きな河川が筑後川である。地図上には網目状の水路が表示されている。これはクリークと呼ばれる農業用に作られた人工水路である。
佐賀平野。この平野は筑後川によって形成された沖積平野である。北東から南に向かって流れる大きな河川が筑後川である。地図上には網目状の水路が表示されている。これはクリークと呼ばれる農業用に作られた人工水路である。

沖積平野の一種として、扇状地や三角州がある。それぞれについて以下で見ていこう。

扇状地

扇状地とは、山から平地に向かって河川が流れ出るところに形成される地形である。形は、山側を中心とした扇形になる。河川は山を流れているときは流れが速いのだが、平地に出ると流れが遅くなる。流れが遅くなると、河川が運んできた土砂が堆積する。この堆積によってできた地形が扇状地である。扇状地の一例として、岩手県にある胆沢扇状地を「川だけ地形地図」で見てみよう。

胆沢扇状地。岩手県南部の胆沢川流域にある。地図の西側にあるのが奥羽山脈で、この山地から東に向かって流れ出た河川によって扇状地が形成されている。
胆沢扇状地。岩手県南部の胆沢川流域にある。地図の西側にあるのが奥羽山脈で、この山地から東に向かって流れ出た河川によって扇状地が形成されている。

三角州

三角州とは、河川が海に注ぎこむところ(河口)に、河川が運んできた土砂が堆積してできる地形である。形状が三角形になるために、三角州と呼ばれる。三角州の一例として、広島県にある太田川三角州を「川だけ地形地図」で見てみよう。

広島の太田川の河口に形成された三角州。広島市の市街地はこの三角州の上にある。
広島県の太田川の河口に形成された三角州。広島の市街地はこの三角州の上にある。

三日月湖

三日月湖とは、蛇行した河川の一部が、河川の流路変更によって、河川から切り離されて残った湖のことである。以下に挙げる石狩川は、もともとかなり蛇行していた河川であり、流路がまっすぐになった後に多くの三日月湖が残された。

北海道を流れる石狩川によって形成された三日月湖。南北を流れる石狩川の左右に曲がった形の湖が存在している。これが三日月湖である。
北海道を流れる石狩川によって形成された三日月湖。南北を流れる石狩川の左右に曲がった形の湖が存在している。これが三日月湖である。

カルデラ

カルデラとは、火山の火口付近に形成される凹地である。多くの場合、円に近い形をしている。また、この凹地に水がたまって湖となることがある。これをカルデラ湖という。

群馬県にある榛名カルデラ。榛名山の火山活動によって形成されたカルデラで、榛名湖というカルデラ湖がある。
群馬県にある榛名カルデラ。榛名山の火山活動によって形成されたカルデラで、榛名湖というカルデラ湖がある。

まとめ

このように、「川だけ地形地図」を使うと、地形について分かりやすく確認することができる。地理を勉強するときに活用してはいかがだろうか。