市長の名字が他の市の名前とかぶっている例

「千葉市の熊谷市長」という困惑

前にニュース記事か何かを読んでいたとき、「千葉市の熊谷市長」という言葉を見て困惑したことがある。これは要するに「千葉市の市長で、熊谷という名字の人」のことを指している。しかし、千葉市とは別に熊谷市という市が実在しているために、「千葉市の熊谷市長」という言葉を見て、千葉市の市長なのか熊谷市の市長なのか、わけが分からなくなったというわけだ ^[1] 。

「千葉市の熊谷市長」のような例は他にもある。例えば、群馬県高崎市の市長は富岡賢治という。つまり、「高崎市の富岡市長」だ。そして、高崎市に隣接している市として、富岡市という市が実在している。このため、「高崎市の富岡市長」は非常にまぎらわしい組み合わせになってしまっている。

日本人の名字は地名に由来することが多いから、市長の名字が他の市の名前とかぶってしまうことは結構ある。というわけで、日本の市長で、そのような例がどれだけあるのか調べてみた。

調査方法

市長名のリストは、2017年10月14日に全国市長会ウェブサイトの「市長名検索」からデータを取得した。直近の市長選挙の結果などと照らし合わせたところ、おそらく2017年10月8日（日）までに実施された市長選挙の結果が反映されていた。このため、このデータを最新のものと見なして差し支えないだろう。

市長の名字が他の市の名前とかぶっている例の一覧

以下が市長の名字が他の市の名前とかぶっている例の一覧である。合わせて97例ある。

なお、一覧には異体字となっているものも載せてある。例えば、高槻市の市長の名字は「濱田」だが、島根県の「浜田市」とかぶるものと見なしている。また、字が合っているかどうかしか見ていないので、名字と市の名前とで読みが異なる場合もある ^[2] 。

ちなみに一番よくあるのが「太田市長」である。2017年10月14日現在、日本には名字が太田である「太田市長」が6人、群馬県太田市の市長である「太田市長」が1人いる ^[3] 。全国の市長を一室に集めて「太田市長！」と呼ぶと振り向く市長が7人もいるというわけだ ^[4] 。

同一県内の他の市と名字がかぶっている市長

先ほど挙げた「高崎市の富岡市長」のように、同一県内の他の市と名字がかぶっている市長は4人いる。

• 群馬県高崎市の富岡賢治市長……群馬県には富岡市がある
• 埼玉県秩父市の久喜邦康市長……埼玉県には久喜市がある
• 千葉県船橋市の松戸徹市長……千葉県には松戸市がある
• 兵庫県赤穂市の明石元秀市長……兵庫県には明石市がある

1. なお、千葉市長の名字は「くまがい」と読み、熊谷市の方は「くまがや」と読む。 [↩]
2. 例えば、先にも触れたように「千葉市の熊谷市長」は「くまがい市長」であって、群馬県にある「熊谷市」の「くまがや市」とは読みが異なるのであるが、一覧には入れてある。 [↩]
3. 名字が太田であるのは、千葉県匝瑳市の太田市長、千葉県いすみ市の太田市長、静岡県菊川市の太田市長、愛知県豊田市の太田市長、奈良県五條市の太田市長、岡山県真庭市の太田市長である。そして、群馬県太田市の市長で清水という名字の人がいる。なお、茨城県に常陸太田市という市もある。 [↩]
4. 「太田」は「おおだ」と読むこともあるが、今の日本の太田市長は7人とも「おおた市長」と読む。 [↩]