革命歌「インターナショナル」を使用したら著作権料を請求されたという、共産主義が資本主義に負けたような話

概要
2004年の映画の中で革命歌「インターナショナル」を口笛で吹いたところ、著作権料の請求がなされた。この歌の作曲者の著作権保護期間がまだ満了していなかったため。

口笛で「インターナショナル」を吹いたら著作権料の請求に

結構昔の記事になるが、ル・モンド紙のウェブサイトに、2005年4月8日付けで Siffloter "L’Internationale" peut couter cher という記事が掲載されていた [1] 。「インターナショナルを口笛で軽く吹くことは高く付くかもしれない」との意味。以下、この記事の内容をもとに、革命歌「インターナショナル」を使用したら著作権料を請求されたという話について述べていきたい。

インターナショナル」 (L’Internationale) は、言わずとしれた革命歌であり、かつてはソビエト連邦の国歌として用いられていたこともある。

さて、ル・モンド紙の記事によると、ピエール・メレジコフスキー (Pierre Merejkowsky) という人が、2004年のフランス映画 Insurrection / resurrection の中でアドリブで「インターナショナル」を口笛で吹いた。しかし、このことが、著作権管理団体のSDRMに気付かれてしまい、SDRMから著作権料を請求されることとなった。

「インターナショナル」の著作権保護期間

「インターナショナル」の作曲者であるピエール・ドジェーテル (Pierre Degeyter) は、1932年に没した。欧州連合の著作権保護期間は死後70年。さらに、大戦中に著作権保護が十分になされなかったことを踏まえて、戦時加算として著作権保護期間がさらに延長される。ドジェーテルの作品の場合は、2014年になってようやくパブリックドメインになるとのことである。

問題の映画は2004年のものであるから、ドジェーテルの著作権保護期間はまだ残存していたのである。ただ、法で認められた権利であるとはいえ、没後70年以上経った時点でしっかりと著作権料を請求されるのは資本主義のすさまじさを示しているのかもしれない。なんだか、共産主義が資本主義に負けたような話である。

なお、ル・モンドの記事によると、ソ連は著作権料の支払いは特にしていなかった模様である。

脚注
  1. Vulser, N. (2005, Apr 8). Siffloter "L’Internationale" peut couter cher. Le Monde. http://www.lemonde.fr/cinema/article/2005/04/08/siffloter-l-internationale-peut-couter-cher_636777_3476.html []