アラン・チューリングとマラソン

概要
コンピュータ科学の祖として知られる科学者アラン・チューリングは、マラソンが速かった。

チューリングのマラソン記録

アラン・チューリング(1927年)
アラン・チューリング(1927年)

アラン・チューリング (Alan Turing, 1912-1954) は、コンピュータ科学の基礎を打ち立てた人物である。実は、彼は長距離走が得意で、マラソンも速かった

チューリングは、1947年に行われたアマチュア・アスレチック・アソシエーション・チャンピョンシップ (Amateur Athletic Association championships) のマラソン競技で、2時間46分3秒という記録を残している [1]

この記録は、現在のマラソン競技のスピードからするとあまり速くないように思われるかもしれないが、当時としてはかなり速い。国際陸上競技連盟の記録 [2] によれば、当時のマラソンの世界記録は、1947年4月に韓国の徐潤福がボストンマラソンで記録した2時間25分39秒である。また、1948年に行われたロンドンオリンピックの記録 [3] によれば、14位の走者が2時間45分27秒で、15位の走者が2時間47分48秒である。コースが同じでないとはいえ、チューリングの1947年の記録は当時のオリンピック出場者と遜色がないのだ。

チューリングのランニング経歴

チューリングがケンブリッジ大学の学部生だった頃は、ケンブリッジからエリーまでの往復50キロメートルを走ることがあったという [4] 。日本で言うならば、東京駅から浦和まで行って戻ってくるぐらいの距離を走っていたことになる。

チューリングは第二次世界大戦中にブレッチリー・パークでドイツの暗号解読に従事していたときはあまり走っていなかったそうだが、戦後、国立物理学研究所に移ると本気で走るようになったとのことである [5] 。このことが1947年の2時間46分3秒という記録に結びついたのであろう。

脚注
  1. Hodges, A. (n.d.). Alan Turing: world class distance runner. The Alan Turing Internet Scrapbook. Retrieved from http://www.turing.org.uk/scrapbook/run.html []
  2. IAAF Media & Public Relations Department. (2013). IAAF Statistics Book – WCH MOSCOW 2013 [p.642]. Retrieved from http://iaaf-ebooks.s3.amazonaws.com/Moscow-2013-Statistics/sources/projet/IAAF-Moscow.pdf []
  3. Sports Reference LLC. (n.d.). Athletics at the 1948 London Summer Games: Men’s Marathon. Retrieved from http://www.sports-reference.com/olympics/summer/1948/ATH/mens-marathon.html []
  4. Butcher, P. (1999). Turing as a runner. Retrieved from http://www-history.mcs.st-and.ac.uk/Extras/Turing_running.html []
  5. Butcher, P. (1999). Turing as a runner. Retrieved from http://www-history.mcs.st-and.ac.uk/Extras/Turing_running.html []